パン屋さんレポート~粉花①

天然酵母パンの深い味わい

 

自家製の酵母を使った熟成感のあるパンは、お料理もワインも引き立てます。

 

 

一切れのパンがどのように作られたのか思いを巡らせると、美味しさからくる感動だけではない気持ちが生まれます。

 

作っている方にお会いしたくて、ワインと同じぶどうから酵母を起こし、大切にパンを焼く姉妹を浅草に尋ねました。

 

 

 

浅草観音裏の小さなパン屋さん「粉花」は、藤岡真由美さんと恵さん姉妹が営む、小さくてかわいいお店です。

 

 

 

 

「レーズン酵母を起こして北海道のお粉と沖縄のお塩でパンを焼くのが好き。」と、姉の真由美さんがお話してくれました。

 

力仕事の多いパン屋さん、女性の経営者、というイメージとはうらはらに「好きなことをしているだけなんですよ。」という自然な感じで時々「うふふ」と楽しそうに優しく笑いながら話すふんわりした雰囲気をお持ちの方です

粉花のパンの特徴

 

粉花のパンは北海道の粉、レーズンから起こした酵母、沖縄の塩で作られます。

 

ハード系のカンパーニュと、柔らかいパンが好きな人のためにきび糖とバターを少し入れた丸パンが基本です。

 

カンパーニュは砂糖も油脂も入らないシンプルな生地で、中身が詰まって皮はがっしりしています。

 

丸パンはしっかり焼かれた見た目からハード系なのかなと思いきや、柔らかく日々の食事やおやつに向いています。

 

ふっくらしているけれども重量があり、食べごたえのあるパンです。

 

 

「パン生地の美味しさを味わってくれたらいいなと思うから、味のバリエーションを増やそうと思わないんです。」

 

メニューはあまり変えません。

 

例えばベーグルは、4月から12月は「オレンジとあんず」、10月から3月は「マロンとチョコレート」の定番があります。

 

また、お客様の声を取り入れて作り定番になったベーグルもあります。

 

「ベーコンベーグル」は「ベーグル生地はお肉に合う。ベーコンやソーセージ入れたら絶対美味しい」という常連さんの意見を取り入れて生まれました。

 

 

 

お客さんは美味しい食べ方をよく知っていて教えてくれます。

 

ワインの会をよく開催するお客様は「カレンズといちじくオレンジのパン」とブルーチーズを合わせて楽しまれているそうです。

 

 

 

また、ガスコンロなどの直火で焼いてオリーブ油と塩で食べるのが好きな方や、丸パンとウイスキーの組み合わせを気に入っている方など、粉花のパンは沢山のお客様の日常にとけこんでいるようです。

 

 

 

パンに対する思い

 

粉花のパンは、一般的な天然酵母のパン屋さんが取り入れている、粉と酵母液を混ぜて種次をする「中種法」ではなく、酵母液のみでパン生地を作る「ストレート法」で作られています。

 

ストレート法はぶどう酵母の風味をより強く感じられるのですが、発酵が安定しないのが特徴です。

 

それだけに発酵状態を見守りパン生地との対話に気持ちと時間を割かなくてはいけません。

 

 

作る上で大変なことは気温が日々変化することで、酸味が出たり膨らみにくかったりするのは日常茶飯事です。「でも、それも含めてパン作りが好き。」と真由美さんは微笑みます。

 

訪問した時にはちょうど、滋賀の大地堂という小麦生産者さんのディンケル小麦を使ったパンを試作中でした。

 

 

ディンケル小麦は古代小麦で、グルテンが少ない品種です。よい香りがしてもちもちした生地のパンをいただきながら、定番を大切にしつつ新しいことも自然体で取り入れているのだなと思いました。

 

 

 

 

イベントにはあまり出店しません。

 

準備や移動に労力を取られると余裕がなくなるからで、大事に焼いたパンを笑顔で売って大事に食べてもらいたいという思いがあるからです。

 

 

でも、各地でパンフェスがブームになっていることについては

「楽しそうだし、知り合いが出ていることも多いので、盛り上がっていていいと思う。生産農家さん共々、真摯にパンと向き合っているグループがイベントを盛り上げているのは知っているので、よい流れだと思う。」と話してくれました。

粉花さんのパンの特徴や藤岡さん姉妹のお人柄など、お店の魅力については続きの記事でご紹介します

 

 

粉花

 

111-0032 東京都台東区浅草 3-25-6-1F

パンの販売時間 10:30~売り切れまで

カフェ 不定期

 

電話番号 03.3874.7302 定休日 日... 

パンは午前中に売り切れる場合もあります。